1．定額減税について
2023年12月22日、2024年度の税制改正大綱が閣議決定され、その中で政府は、1人当たりで最大4万円の所得税・住民税の定額減税を、2024年6月1日以降の給与支払い（賞与が先にある場合は賞与支給）から実施することを表明しました。
しかし、ただ単に6月分の税金から4万円が引かれるわけではありません。具体的に所得がどれだけ増えるか不明な方も多いでしょう。この記事では定額減税について、図解で分かりやすく解説していきます。
2．そもそも、なぜ定額減税が行われるのか
所得税の減税を政府が決定した理由は、急激な物価上昇による家計負担を軽減するためです。総務省によると2023年度の平均消費者物価指数が約4%上昇し、特に生鮮食品の値上がりが顕著です。
賃金上昇があったとしても、物価上昇により実質賃金が追いつかず、生活が苦しい世帯が増加しています。このため、国民に対して過去の税収を元にした一定額の減税を実施することで、家計負担の軽減を図る方針が決定されました。
3．2024年の定額減税方法と概要
政府は2024年6月から、納税者本人と扶養家族を対象に、所得税3万円・住民税1万円の計4万円を定額減税する方針を決定しました。具体的な減税額や給付のタイミングについて、単身・扶養家族それぞれのケースに分けて解説します。
単身の場合、2024年6月は所得税と住民税が免除されるため、手取りが大幅に増えます。その後も増える見込みがあります。扶養家族がいない場合、納税額が多い傾向があるため、一回あるいは複数回で満額の減税が期待できます。
一方、扶養家族がいる場合は、扶養控除などにより税金が少ない傾向があります。そのため、所得税の減税額を受けきることが難しい場合もあります。そこで、減税しきれないと見込まれる額については、1万円単位で給付されることになりました。
例えば、減税しきれないと見込まれる額が21,000円の場合、切り上げて3万円給付されます。給付の時期は2024年8～9月頃を予定しています。
4．年収2,000万円超は対象外
また、この減税方式は住民税・所得税を納めている課税世帯のみに適用されます。そのため、非課税世帯や低所得者は対象外となります。非課税世帯や低所得者には別途給付金が支給されることが決定されています。また、18歳以下の子どもを対象に追加給付を行うことで、より低所得者および子育て世帯の家計負担を軽減する取り組みも行われます。
5．定額減税のメリット
＊一定額が差し引かれるので、低・中所得者への恩恵が相対的に大きい
＊減税によって消費・購買意欲が見込める
従来の所得に応じた割合で減税される制度とは異なり、定額減税では一定の金額が減税されるため、低所得者や中所得者層にとって恩恵が大きいです。また、定額減税は経済の活性化にも寄与します。税負担の軽減により、消費意欲が高まり、経済活動が活発化すると期待されます。これにより、企業の売上や雇用も増加し、経済全体の活気が生まれるでしょう。
6．定額減税のデメリット
＊所得税非課税層は恩恵を受けることができない
＊持続的な経済成長には追加の政策が必要
所得税を支払っていない所得税非課税層は、定額減税の恩恵を受けることができません。この問題に対処するため、給付金の支給などの代替案が出ています。また、定額減税は一時的な経済刺激をもたらす可能性がありますが、持続的な経済成長には他の政策や取り組みが必要です。定額減税のみに頼ることは、経済のバランスを損なう可能性があります。
7．まとめ
2024年6月から始まる政府の所得税・住民税の定額減税について、図解入りで解説しました。納税者と配偶者を含めた扶養家族1人につき所得税3万円・住民税1万円が減税されます。また、低所得者には給付金が支給されます。
定額減税にはメリットとデメリットがあり、その効果は規模によって異なります。将来的には、この政策が賃上げなどと相まって家計の可処分所得を増加させ、経済にプラスの影響を与えることが期待されます。
