通訳の仕事をするには?必要なスキル 収入まで解説

通訳の仕事をするには?必要なスキル 収入まで解説

通訳の仕事は、国際会議やビジネスの場などで、言葉の壁を越えてコミュニケーションを円滑に行うための重要な存在です。ただ単に言葉を訳すだけでなく、微妙なニュアンスや文化的背景を考慮しながら、正確に伝えることが求められます。本記事では、通訳の仕事内容や必要なスキル、年収とキャリア形成、将来性について解説します。

1.通訳の種類

通訳業務には、3つのタイプがあります。

1-1.同時通訳

同時通訳は、話し手の言語をほぼ同時に聞き手の言語へ翻訳し伝える手法です。高度な語学力と高い集中力が必要であり、話の内容を瞬時に理解し、母国語へと迅速に変換することが求められます。主に国際会議や放送通訳など、言語が複数使用される場面で利用されています。

1-2.逐次(ちくじ)通訳

逐次通訳は、話し手の発言が終わった後に通訳を行う手法です。通訳者は話し手が発言している間、ノート・テイキングと呼ばれる技法を用いて内容をメモし、その後に意味を翻訳して整理します。主にインタビューや講演会などの場面で利用されています。

1-3.ウィスパリング通訳

ウィスパリング通訳は、聞き手のすぐ横に立ち、話し手の言葉をほぼ同時に聞き手の耳元でささやきながら通訳を行う手法です。ほとんどタイムラグがないため、ビジネスシーンなどで利用されています。耳元でのささやきにより、会話を邪魔することなく通訳が行われます。

通訳の仕事をするには?必要なスキル 収入まで解説

2.通訳者になるには

通訳の仕事に就くには、高度な語学力が不可欠です。しかし、語学力があるだけでは務まりません。発言内容を漏らさず聞き取る集中力、相手の意図を正確に理解する能力、即座に異なる言語で的確に表現する力など、さまざまなスキルが求められます。

2-1.大学や養成学校などの教育機関で学ぶ

通訳者になるためには、まず語学力を磨くことが重要です。外国語に強い大学や専門学校に進学し、外国語力を底上げしましょう。また、通訳のスキルを磨くための「通訳の養成学校」などもあります。これらを利用することで、実践的なスキルを身に付けることができます。

2-2.留学

通訳者としてのキャリアを築くためには、留学経験が有益です。大学や養成学校ではなかなか身に付けられないネイティブの言い回しやスラングなど、実践的な言語スキルを身につけることができます。異文化を経験することで、コミュニケーション能力や柔軟性も向上し、通訳者としての力量を高めることができます。

3.通訳に必要なスキル・能力

通訳者には語学力に加えて、さまざまな能力やスキルが求められます。以下にその一部をご紹介します。

3-1.コミュニケーション能力

通訳者は、聞き手と話し手の間に立ち、円滑なコミュニケーションを実現する役割を果たします。相手の感情や意図を読み取り、適切な言葉や表現で情報を伝えるためには高度なコミュニケーション能力が必要です。

3-2.理解力・表現力

通訳者は、会話の意図や文脈を正確に理解し、それを他の言語で的確に表現する必要があります。また、外国語特有の表現やニュアンスを理解し、適切な翻訳を行う能力も求められます。

3-3.知識

医療や法律、ビジネスなど、さまざまな分野での通訳が求められることがあります。そのため、通訳者は幅広い分野に関する基本的な知識や専門知識を持っていることが重要です。

3-4.経験

通訳業界での経験は、信頼性や実力を高める上で重要です。大学や養成学校での学びと並行して、ボランティア通訳やインターンシップなどを通じて経験を積むことが推奨されます。実践を通じてスキルを磨き、実績を積むことが通訳者としての成長につながります。

4.必要な資格はある?

通訳としてのキャリアを構築する上で、必須とされる資格はありません。しかし、語学力を客観的に評価するための検定試験が存在しますので、これらを受験することは推奨されます。

*TOEIC1級:逐次通訳技術が十分であり、同時通訳やウィスパリングにも対応可能なレベルです。ビジネス通訳者として高いスキルを持っています。
*TOEIC2級:逐次通訳の基礎があり、慣れている分野ではウィスパリング通訳も行える程度のレベルです。ビジネス通訳者として適切なスキルを持っています。
*TOEIC3級:一般的な内容において逐次通訳が可能な初心者レベルです。ビジネス通訳者としては初心者レベルと言えます。

通訳の仕事をするには?必要なスキル 収入まで解説

5.これから学ぶべき外国語ランキングTOP5

1位:英語 …国際ビジネスにおいて不可欠な言語であり、世界中で広く使用されています。
2位:フランス語 …国際連合や欧州連合の公用語の一つであり、文化的な重要性も高い言語です。
3位:スペイン語 …ラテンアメリカ地域の国際的な共通語であり、世界中で使用されています。
4位:アラビア語 …イスラム教徒の人口に比例して世界での重要性が高まっており、ビジネスや政治での需要が増しています。
5位:中国語 …世界最古の言語の一つであり、世界最大の話者人口を誇る言語です。中国の経済力の拡大に伴い、需要が高まっています。

また、加速するアジア圏のグローバル化に伴い、今後は韓国語をはじめ、ベトナム語やタイ語、インドネシア語、ミャンマー語といったアジア言語の需要が高まることが予想されています。

6.日本人は何語が一番覚えやすい?

「発音」「文字」「言語の構造」「話すスピード」などの要素から考慮すると、 韓国語、インドネシア語、マレーシア語、スワヒリ語などが、日本人にとって比較的習得しやすい言語とされています。

7.通訳にはどんな有名人がいるの?

通訳の世界には多くの先輩がいますが、日本で特に有名な通訳者の一人が慶應義塾大学創設者の福沢諭吉です。福沢諭吉は1862年に遣欧使のメンバーに選ばれ、フランス、イギリス、オランダ、ポルトガル、ドイツ、ロシアを歴訪しました。その後、1864年に江戸幕府のプロ通訳としてアメリカを訪れました。

福沢諭吉は通訳の経験を通じて、学問の重要性を認識し、学問を志す者たちの学習の場として慶應義塾を開校するなど、日本の発展に貢献しました。

8.通訳者の収入とキャリア形成

Indeed(インディード)で検索可能なデータによれば、通訳者の月収の全国平均は約24.7万円です。なお、派遣が多い通訳者の時給の全国平均は1,528円です。地域別では東京都が1,665円でTOPでした。

都道府県 時給平均 月給平均
北海道 1,389円 239,098円
東京都 1,665円 251,286円
愛知県 1,633円 251,786円
京都府 1,572円 251,573円
大阪府 1,481円 252,439円
福岡県 1,467円 272,410円
沖縄県 1,486円 213,698円

参考:Indeed採用市場レポート 2024年3月末時点

9.まとめ

世界経済の大きな原動力であるグローバル化は、今後もさらなる進展が期待されます。このグローバル化の流れに伴い、通訳の需要も必然的に高まることが見込まれます。言語能力だけでなく、相手の立場や文化的な背景を理解し、適切な言葉を選び出せる高度なスキルを持つ通訳者は、ますます求められることでしょう。

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