半導体エンジニアのキャリア展望
現代社会において、PC・スマートフォン・液晶テレビ・冷蔵庫・自動車など、さまざまな製品に不可欠な半導体。今後は、IoTやAIを活用したデジタル化の進展や、脱炭素社会の実現に向けた電気自動車の需要拡大などに伴い、半導体市場は拡大を続けると見込まれています。
これらの製品における半導体の設計や組み込みに関する専門家が、半導体エンジニアです。その需要の高まりに伴い、半導体エンジニアの求人も急増しており、将来性のある技術職としてますます注目を集めています。
半導体エンジニアの仕事内容
半導体エンジニア
【職域】
半導体エンジニアは、半導体の設計やICチップ内部のレイアウト設計などに関わる専門家です。CADやCAMを駆使し、半導体の設計を行うことが主な業務です。
【求められるスキル】
半導体エンジニアには、一定レベルのプログラミング技術が求められます。また、システム設計やロジック設計、レイアウト設計のスキルも不可欠です。さらに、CADやCAMの基礎操作も必須条件となります。
半導体プロセスエンジニア
【職域】
半導体プロセスエンジニアは、半導体の製造プロジェクト全体を客観的な視点で評価・監視し、予算や時期、市場動向に基づいた計画を策定します。計画に必要な修正を繰り返し行いながら、半導体エンジニアと協力して設計を完成させ、実行し、体制を整え、改善点を洗い出すことで、製造を円滑に進めます。
【求められるスキル】
半導体プロセスエンジニアには、半導体関連の技術スキルに加えて、創造力やマネジメント力、円滑なコミュニケーション能力が求められます。また、国内外の企業やエンジニアと協働する機会が多いため、ビジネス用語を理解し、英語での資料作成や参考文献の活用が必須とされます。
半導体メンテナンスエンジニア
【職域】
半導体メンテナンスエンジニアの仕事は、初級(製造装置の定期メンテナンス)、中級(製造装置のトラブル対応/修理/改善)、上級(製造ラインの立ち上げ)に分かれています。それぞれのレベルで異なる業務を担当します。
【求められるスキル】
半導体メンテナンスエンジニアの求人広告では、多くが「学歴不問」「未経験者歓迎」といった条件を提示しています。実際に、この職種で活躍している人の多くが未経験者からスタートしています。したがって、半導体業界でキャリアを築きたい人にとって、半導体メンテナンスエンジニアは非常に魅力的な職種と言えます。
半導体エンジニアの年収
半導体エンジニアの平均年収は約530万円前後です。一般企業の平均年収と比較すると高額な印象があります。月収換算すると約44万円程度です。他のIT系エンジニアの平均年収と比較すると、中間くらいの額に位置します。
年齢 | 半導体エンジニア | 半導体プロセスエンジニア | 半導体メンテナンスエンジニア |
---|---|---|---|
20代 | 350万円~ | 450万円~ | 350万円~450万円 |
30代 | 400万円~800万円 | 500万円~600万円 | 400万円~800万円 |
40代 | 500万円~900万円 | 700万円~1000万円超 | 500万円~900万円 |
半導体エンジニア関連の資格
半導体エンジニアになるために必須な資格はありません。特別な資格を持っていなくても、半導体エンジニアとしての転職は可能です。ただし、業務上の知識を向上させたり、技術を生かすためには、いくつかの資格試験があります。以下に、おすすめの資格をご紹介します。
半導体技術者検定
半導体技術者検定は、もともと「半導体テスト技術者検定」としてスタートした技術者向けの検定試験です。レベルは3つあり、入門的な「エレクトロニクス3級」、若手から中堅エンジニア向けの「エレクトロニクス2級」、そして中堅から指導的な役割を担うベテランエンジニア向けの「エレクトロニクス1級」があります。受験者は自身のレベルに合わせて選択することができるのが特徴です。
参照(外部リンク):半導体技術者検定
ディジタル技術検定
ディジタル技術検定は、半導体の仕組みを理解するのに役立つ資格です。回路理論や通信など、幅広い分野をカバーしています。レベルは初歩的な4級から、実務指導が可能な1級までの4段階があります。特に1級と2級では、「情報部門」と「制御部門」に分かれており、専門性をさらに細かく絞ることができるのが特徴です。
参照(外部リンク):ディジタル技術検定
CAD利用技術者試験
CADを実践的に活用する業務に従事する方に適した資格です。平面図面作成が主体の「2次元CAD利用技術者試験」と、立体的なデータを取り扱う「3次元CAD利用技術者試験」の2つがあります。2級までの試験は誰でも受験が可能です。
参照(外部リンク):CAD利用技術者試験
半導体エンジニアに求められる英語スキルは?
半導体業界では、多くの情報が英語で提供されています。最新の情報や文献が日本語に翻訳されるまでに時間がかかるため、即座に英語で情報を吸収できる能力は非常に重要です。また、プロジェクトによっては海外企業との協業もあります。
そのため、多くの日本企業ではTOEICスコアを英語スキルの評価基準として利用しています。厳密に決まっているわけではありませんが、一般的に半導体エンジニアに求められるTOEICスコアは「700点以上」が望ましいとされています。
まとめ
半導体エンジニアの需要は今後も高まっていく見込みです。現時点でも年収は高く、実務経験を積むことでさらなるキャリアアップの可能性が広がっています。また、技術力や設計力を高めることで、世界を驚かせるようなエンジニアの出現も夢ではありません。
TOMIYO JOB!では、半導体エンジニアとしての転職のお手伝いも可能です。無料でキャリアコンサルタントにご相談いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。