厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」の詳細解説とキャリアアップ助成金の活用方法

厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」の詳細解説とキャリアアップ助成金の活用方法

1. 厚生労働省の新施策「年収の壁・支援強化パッケージ」を徹底解説

厚生労働省が発表した「年収の壁・支援強化パッケージ」は、令和5年10月から実施される重要な施策です。このパッケージは、年金制度の改正を含み、令和7年度までの措置を対象としています。この記事では、この施策の詳細とその重要性について説明します。

2. 年収の壁とは何か?

「年収の壁」とは、第3号被保険者の中で、収入が増加すると第1号被保険者または第2号被保険者に移行し、新たに社会保険料が発生することによって、手取り収入が減少する問題を指します。さらに、収入要件を満たす企業の配偶者手当が失われることで、手取り収入が減少する可能性があります。この問題は、本人の働き方の希望を制約し、企業の人手不足を助長し、労働市場全体において、収入を増やすことを望まない短時間労働者が他の同様の条件で働く短時間労働者の賃金引き上げを抑制する可能性があるという懸念が存在しています。

2-1. 被保険者1号・2号・3号

*第1号被保険者は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業や漁業の従事者、学生、無職の方で、国民年金の保険料を自分で直接納める人たちです。

*第2号被保険者は、会社員や公務員など職場の厚生年金や共済組合に加入している人で、保険料は事業主と折半で給料から天引きされて納付しています。ただし、65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している人は除きます。

*第3号被保険者は、会社員や公務員などに扶養されている配偶者(専業主婦・主夫)で、原則として年収130万円未満の20歳以上60歳未満の人です。ただし、年収130万円未満であっても、厚生年金保険の加入要件にあてはまる人は除きます。

※就職・退職や、結婚・離婚をしたときには、種別変更の手続きが必要な場合もあります。

3. 「106万円の壁」にキャリアアップ助成金が登場

「106万円の壁」への対応策として、雇用保険二事業のキャリアアップ助成金に「社会保険適用時処遇改善コース」が新設されます。これは、被用者保険の適用による手取り収入の逆転を防ぐため、労働者の収入を増加させた事業主に最大50万円の助成金を提供するものです。

具体的には、賃上げ、労働時間の延長、被用者保険適用に伴う保険料負担軽減のための手当(社会保険適用促進手当)の支給、のうちいずれかの手段または組み合わせによって、労働者を被用者保険に適用させるとともに、最大3年間をかけて収入を増加させた事業主に対して助成します。なお申請人数に上限は設けられていません。

キャリアアップ助成金:社会保険適用時処遇改善コース
キャリアアップ助成金:社会保険適用時処遇改善コース
助成金活用イメージ〈手当等により収入を増加させる場合(手当等支給メニュー)〉
助成金活用イメージ〈手当等により収入を増加させる場合(手当等支給メニュー)〉
助成金活用イメージ〈手当等と労働時間延長を組み合わせる場合(併用メニュー)〉
助成金活用イメージ〈手当等と労働時間延長を組み合わせる場合(併用メニュー)〉

4. 新制度「社会保険適用促進手当」の詳細

「社会保険適用促進手当」も新設されます。この手当は、給与や賞与とは別に支給され、保険料算定の基礎となる標準報酬月額や標準賞与額の算定には考慮されません。対象は標準報酬月額が10.4万円以下の者で、最大2年間の時限措置となります。この新手当の目的は、被用者保険に適用されている労働者と同じ条件で働く労働者に対して公平な手当を提供することです。

社会保険適用促進手当について
社会保険適用促進手当について

5. 「130万円の壁」への対処法

「130万円の壁」への対応策も導入されます。この壁を超える場合、事業主は一時的な収入変動がある旨を証明する書類を提出することで、被扶養者としての認定が続けられるようになります。原則として、この認定は連続2回までの上限が設けられています。

「130万円の壁」への対処法
「130万円の壁」への対処法

6. まとめ

「年収の壁・支援強化パッケージ」は、日本の労働市場における課題に対処し、労働者と事業主の双方にメリットをもたらす新しい制度です。年収の増加を促進し、社会保険の改善を目指しています。この制度が如何に実施され、どのような影響をもたらすか、今後の展開が注目されます。

※この記事は厚生労働省の「年収の壁・支援強化パッケージ」に関する情報をもとにしており、最新情報は公式ウェブサイトなどでご確認ください。

 

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