転職や再就職は新たな挑戦です。新年度を迎える4月に向けて転職活動を考えている方も多くいるのではないでしょうか?その転職活動中の過程で支えとなるのが「再就職手当」です。失業者が新たな仕事に就くための財政的なサポートを提供するこの手当は、派遣社員も受けることが出来ることをご存知でしょうか?この記事では、再就職手当の仕組みや派遣社員が手当を受け取る為のポイントを詳しく解説していきます。
再就職手当とは?
再就職手当は雇用保険から支給される手当の一種で、ハローワークで条件を満たしている人が申請を行うと受け取ることが出来ます。受給資格を満たしている人が、早く安定した職業に就く・または事業を開始することが出来るように、早期の再就職を促すために作られた経済的なサポートを受けられる制度です。よって、より早く再就職すると、より給付率が高くなるという特徴があります。
就職等をする前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数より給付率が異なります。
支給日数を所定給付日数の
3分の2以上残して早期に再就職した場合…基本手当の支給残日数の70%の額
3分の1以上残して早期に再就職した場合…基本手当の支給残日数の60%の額
参考:ハローワークインターネットサービス 再就職手当のご案内
支給残日数は3分の1以上なければ、受給できないので注意が必要です。
再就職手当を受ける条件
また、再就職手当を受けるには下記すべての条件を満たしている必要があります。
【1】受給手続き後、7日間の待機期間(※)満了後に就職、または事業を開始したこと。
【2】就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
【3】離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと。
【4】受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介業者の紹介よって就職したものであること。
【5】1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用系客の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
【6】原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
【7】過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始しに係る再就職手当も含みます。)
【8】受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
※待機期間中に仕事等をしたことにより失業の状態でなかった日や、失業の認定を受けていない日については、待期期間に含まれませんのでご注意ください。
参考:ハローワークインターネットサービス 再就職手当のご案内
上記の条件を満たしていることを確認したうえで、就職日の翌日から1か月以内に、再就職手当支給申請書に受給資格者証を添えてハローワークに提出し、支給・不支給の決定をするために一定の調査期間(おおむね1か月)かかります。よって、申請してから入金されるまで1か月半~2カ月程度待つ必要があります。
※ハローワークに出向く時間が取れない場合は、郵送で書類を提出することも可能です。
再就職手当のデメリット
再就職した後の経済的な安定をサポートしメリットばかりのように感じられる再就職手当ですが、果たして受け取る事によるデメリットはあるのでしょうか?
・条件をクリアしないともらえない
前の項目でも説明した通り、支給には細かな条件が定められており、これを全て満たしていないと受け取ることが出来ません。ハローワークに情報を提出し、待ったのに条件を満たしておらず再就職手当をもらえない、ということにならないように気を付けましょう。
・失業手当はもらえなくなる
失業手当は原則として就職日の前日までしか受給できないという決まりがあるので、失業からすぐに就職してしまうと満額もらうことはできなくなります。
再就職手当にデメリットはほとんどありません。失業手当と再就職手当の金額だけで見た場合、失業手当を満額受給する方が受け取れる合計額は多い計算になるので「早く就職するのは損」と考えてしまう方も多いかもしれませんが、失業保険は離職前の給料より少ない額の支給になります(※下記参考)失業手当を満額もらうタイミングでちょうど再就職先が決まったとしても、給与が振り込まれるのは働き始めて1ヵ月後ですので、貯金などが充分でないと安心できません。就職を早く決め、収入が少ない期間を早く乗り切る方が失業期間中のマイナスを埋めることのできる確率は高くなるでしょう。
※失業保険額の計算方法
①賃金日額=退職前6ヶ月の給与総額÷180(6ヶ月×30日)を算出
②基本手当日額=賃金日額×45~80%(年齢や賃金日額によって異なる)を算出
③基本手当の総額=基本手当日額×所定給付日数
④毎月の基本手当額=基本手当日額×28日分
派遣社員でも再就職手当はもらえる?
実は条件を満たしてさえいれば派遣社員でも再就職手当を受け取ることが出来ます。「正社員」でないと受け取れないものではなく、雇用形態の指定はありません。ただし受給の条件として1年を超えて勤務することが確実であること。という条件があるため長期で働ける職場を選択する必要があります。