新たな一歩を踏み出す退職の際、手続きや心理的負担がかかることは少なくありません。そんな中『退職代行サービス』が登場し、多くの人々の退職プロセスをサポートしています。本記事では、退職代行サービスの概要からメリット、デメリット、そして利用した際の注意点やトラブルについて解説していきます。
退職代行サービスとは?
退職代行サービスとは、退職手続きやその他の関連手続きを専門の業者に委託し、代わりに行ってもらうサービスです。具体的には、会社への退職届の提出や雇用保険の手続き、退職金の受け取り手続きなどを行ってくれます。一般的に、相場は3万円ほどで、サービス内容や業者によって異なります。
利用するメリット
手続きの煩雑さを軽減できる
退職手続きは書類の準備や提出、さらには各種機関への連絡など、多くの手続きが必要です。退職代行サービスを利用することで、これらの手続きを専門家に任せることができます。
心理的負担を軽減できる
退職は新たな一歩を踏み出す重要なイベントですが、その一方で不安やストレスも伴います。退職代行サービスを利用することで、手続きに関する心配事を軽減し、新しいスタートに集中することができます。
人によっては即日退職できる
退職代行サービスを利用することで、退職の手続きが迅速に進められる場合があります。これにより、急な退職の必要性が生じた際や、即座に新しい職場での業務を開始する必要がある場合などに、迅速な対応が可能となります。
手続きの流れ
退職代行サービスを行っている業者により内容や料金は異なりますが、サービスを利用する際の一般的な手続きの流れは以下の通りです。
【1】相談や申し込み
退職代行サービスを提供する業者に申し込みます。オンラインや電話での申し込みが可能です。
【 2 】退職手続きの打ち合わせ
申し込み後、担当者との打ち合わせが行われます。退職の理由や退職希望日、希望する手続き内容などを確認します。
【 3 】書類の提出
手続きなどに書類が必要な場合、書類を業者に提出します。退職届や身分証明書などが含まれます。
【 4 】手続きの代行
業者が代理で退職手続きを行います。会社への連絡や有休消化交渉など、必要な手続きを行ってくれます。
※「弁護士運営」か「労働組合」が運営する退職代行のみ『交渉』を行うことができます
【 5 】完了報告
手続きが完了した際に、業者から報告があります。これにより、利用者は手続きの完了を確認することができます。
利用するデメリット
費用負担
退職代行サービスを利用する際には、一定の費用がかかります。(相場で3万円ほど)これは、手続きの代行やサポートを受けるための料金です。そのため、自己で手続きを行う場合と比べて費用がかさむ場合があります。
情報漏洩のリスク
退職代行サービスを利用することで、個人情報が第三者に漏れる可能性があります。信頼性のあるサービスであっても、情報漏洩のリスクは完全にゼロとは言えません。特に、個人情報を取り扱う業者を選ぶ際には慎重に検討する必要があります。
手続きの遅延
退職代行サービスを利用する場合、手続きに関する一部の責任が代行サービスに委ねられます。そのため、代行サービス側の手続きミスや遅延によって手続きが滞る可能性があります。特に、締め切りが迫っている書類の作成代行などを依頼する場合は、十分な余裕を持って手続きを行う必要があります。
会社の人との関係が悪くなる
退職代行サービスを利用することは、一部の人にとっては仕事に対する責任を放棄するように感じられる場合があります。これにより、同僚や上司との信頼関係が損なわれ、離職後も良好な関係を維持するのが難しくなることがあります。
退職代行サービスを利用する際の注意点
退職代行サービスを利用する際には、以下のような注意点に気を付けて依頼しましょう。
法的違反の業者に注意
資格を持たない退職代行業者が非弁行為を行うと、法的に違法となります。「弁護士運営」か「労働組合」が運営する退職代行業者のみ退職に関連して『交渉』することが出来ます。有給消化の交渉や退職金の交渉なども依頼したい場合は、法的正当性を持って希望を通すことのできる業者を選びましょう。
契約内容の確認
退職代行サービスを利用する前には、契約内容を事前に十分に確認しましょう。実は○○をお願いするには、追加料金が必要だった!とならないように、料金やサービス内容、手続きの流れなどが明確に記載されているかを確認し、曖昧な点がないか不明な点は事前に質問をしておきましょう。
個人情報の取り扱い
代行業者が取り扱う個人情報の保護が適切に行われているかを確認しましょう。個人情報が適切に管理されているかどうかを確認し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための対策がされているかを確認します。
信頼性の確認
運営元などもしっかりと確認し、代行業者の信頼性や実績を確認しましょう。口コミや評判、実績などを調査し、信頼できる代行業者を選ぶことが重要です。
トラブル時の対応策
万が一トラブルが発生した場合に備えて、代行業者との連絡先やトラブル解決の方針などを確認しておきましょう。迅速な対応や適切な解決策が求められるため、事前に準備しておくことが重要です。
退職代行サービスのトラブル例
会社に退職を協議・拒否された
代行業者が対退職の内容を伝える電話をした際に「退職を待ってくれないか」「引き継ぎだけはしてくれないか」「挨拶のないまま辞めるのは認められない」など協議を持ちかけられたり、退職そのものを拒否されてしまうケースもあります。民法第627条では、労働者の退職の自由が認められていますが、場合によっては権利のない退職代行業者であればその点を詰められ交渉が失敗してしまうという可能性がゼロではありません。
しっかりと交渉の権利を持った対応実績豊富な退職代行サービスの業者を利用する方が良いでしょう。
会社から直接電話がかかってきた
代行業者からも本人には連絡をしないでほしいと会社に伝える場合がほとんどで、会社から退職者に対して連絡が入ることはめったにありません。しかし退職者本人にどうしても自分の口から伝えたい内容がある場合や、退職を思いとどまってほしいと考えている場合、退職者に連絡がいってしまうケースがあります。この場合はまずは代行業者に連絡がきた旨を伝え相談してみましょう。
会社から損害賠償を請求された
退職者に対して裁判を起こすケースはまれで、ほとんど発生しないケースではありますがこのようなリスクもある事を理解しておく必要はあります。退職代行サービスを使うこと自体は違法ではありません、退職前も真面目に業務を行い、会社が困らない引き継ぎをすれば、特に問題はないでしょう。
懲戒解雇になってしまった
懲戒解雇になるケースもまれでほとんどありません。ハラスメントや機密漏洩など、明らかに会社側に大きな不利益をもたらした場合懲戒解雇となります。懲戒処分のなかで最も重い制裁であり、退職金の不支給や減額、そして転職において不利になったりとデメリットをもたらします。退職代行を利用したことを理由に懲戒解雇になると脅す会社もあるようですが、そのようなことはありません。
代行会社に業務を放棄された
稀なケースではありますが退職手続き途中で代行会社が業務を放棄し、連絡が取れなくなる場合があります。これにより、依頼者は退職手続きを完了できず、トラブルが生じます。料金を支払い依頼しているサービスですので、悪徳業者を選んでしまわないよう、しっかりと最後まで手続きを行ってくれる業者を選びましょう。
追加料金が発生し、思ったより費用がかかった
雇用形態の違いや依頼する案件の難易度、どこまで代行業者に依頼するかによって、追加費用が発生するケースもあります。見積時の金額よりも費用が上乗せされてしまい高額な支払いを行うことにならないように一律料金の業者を選ぶ方が安心です。
退職代行サービスは、退職手続きや心理的負担を軽減するための便利なサービスです。しかし、利用する際には注意点やデメリットもあります。利用者は、サービス内容や料金、注意点を事前に確認し、適切な判断を行うことが重要です。上司に伝えたら意外とあっさりと辞めることが出来たというケースもあるので、お金を払い退職代行サービスを使うべきかどうかしっかり検討しましょう。