有効求人倍率とは?その定義や計算方法をわかりやすく解説

有効求人倍率とは?その定義や計算方法をわかりやすく解説

現代の日本では、年々労働人口が減少しています。この状況下で、企業が必要とする優れた人材を確保するためには、求職者と企業の間での需要と供給のバランスを正しく把握することが不可欠です。そのために、厚生労働省が毎月発表する「有効求人倍率」を注意深く調査し、自社の採用計画を戦略的に構築していくことが大切です。

有効求人倍率は、市場における求職者と求人の数を示す重要な指標であり、これを理解することで、効果的な採用戦略を展開するのに役立ちます。需要と供給のバランスを把握し、競争力のある採用プロセスを確立することが、企業の成功に不可欠な要素となります。

有効求人倍率とは?その定義やハローワーク離れを考える

1.有効求人倍率とは

一般的に就職や転職サイトなどで頻繁に見かける指標であり、全国の公共職業安定所(通称ハローワーク)での求職と就職の状況を要約し、厚生労働省が毎月発表している求人数の倍率を指します。この指標は、企業が採用活動を行う際の人材供給の状況を把握し、求職者が就職の難易度を判断するために使用されます。有効求人倍率の統計調査は、1952年から行われており、日本の労働市場の健全性を評価する重要な要素となっています。

有効求人倍率の「有効」とは、ハローワークが求人・求職に定める有効期間です。求人・求職ともに2カ月間(申込み月の翌々月末日まで)とされています。

2.有効求人倍率の求め方

有効求人倍率は、企業がハローワークにエントリーする仕事の数(有効求人数)÷働きたい人の数(有効求職者数)で算出します。

例えば、有効求人数が50で、有効求人者数が100の場合、有効求人倍率は0.5倍となります。同様に、有効求人数が100で、有効求人者数が80の場合、有効求人倍率は1.25倍と計算されます。有効求人倍率が1を超える場合、求人に応募者が不足している状態であり、人材の確保が難しい状況となります。逆に、有効求人倍率が1未満の場合、企業の求人に対する希望者が多く、就職希望者が定職に就くのが難しい状況と言えます。

3.景気動向の指標として

2008年8月の有効求人倍率は0.86倍でしたが、翌月にアメリカで発生したリーマンショックの影響により、約1年後の2009年8月には有効求人倍率が0.42倍まで急激に低下しました。この結果、社会全体が不景気に見舞われ、求職者は非常に厳しい就職難に直面しました。このように、有効求人倍率は労働市場の好不景気を反映する重要な指標として、経済の変動に敏感に反応します。

4.有効求人倍率の状況

昨今求職者と企業でハローワーク利用率の低下が顕著になっています。実際にハローワークで求人応募をする割合は、2015年は41.3%、2020年は34.3%と減少しています。一方で求人サイトの利用率はこの5年で急増しており、2015年は24.2%のところ、2020年は39.4%となっってます。

有効求人倍率とは?その定義やハローワーク離れを考える
【算出式】
出典:有効求人倍率 = 有効求人数÷ 有効求職者数
出典:doda転職求人倍率 = 求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数

上図のように、コロナショック以降、2つの指標統計の乖離が大きくなっているのがわかります。求人サイトは、企業側からすれば、求人検索のしやすさや雇いたいと考えているターゲット層が多いため、年々利用数が増えている傾向にあるようです。

5.有効求人倍率を理解して、採用活動に取り組む

有効求人倍率は、その時代の労働市場を示す重要な指標です。近年の高い倍率は、企業にとって適切な人材を確保することがますます難しくなっていることを示しています。このような状況下でも、有効求人倍率の変動を適切に分析し、現在の状況を正確に理解することは、新しい採用戦略を検討するための示唆となります。

また、有効求人倍率は職種ごとにも公表されており、エリア別のデータと組み合わせて検討することで、より詳細な洞察が得られるでしょう。労働市場のトレンドを把握し、効果的な人材戦略を策定するために、この指標を積極的に活用しましょう。

 

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