クリーンルームってどんな作業場?クリーンルームで働く際のメリット・デメリットとは?

クリーンルームってどんな作業場?クリーンルームで働く際のメリット・デメリットとは?

クリーンルームでの仕事に興味はあるけれど、「クリーンルームって、どんな作業場?」と疑問を抱く方も多いでしょう。この記事では、クリーンルームの基本的な概念から、洗浄度(クラス)、その仕事のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

1. クリーンルームとは

クリーンルームは、特定の清浄度レベルを保つために設計された作業空間です。空気中の浮遊塵埃を制御し、温度や湿度を一定の基準に維持します。製品の品質に影響を及ぼす微細なチリやホコリを最小限に抑えるため、クリーンルーム内での作業には特別な注意が必要です。

2. 清浄度とは

クリーンルームの清浄度は、「一定の体積中の基準の大きさ以上の塵埃の数量」で表されます。規格の原本は1963年のアメリカ連邦規格Federal Standard209です。一般的に最も使われているものは209Dです。これは1フィート立方中(28.8リットル)に0.5ミクロン以上の微粒子が何個あるかで表します。

アメリカ連邦規格Fed. Std. 209D
(1ft3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/ft3)

Fed.Std.209D 0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 5μm
クラス10 350 75 30 10
クラス100 3,500 750 300 100
クラス1,000 35,000 7,500 3,000 1,000 7
クラス10,000 10,000 70
クラス100,000 100,000 700

産業分野別 標準清浄度

産業分野 適用内容 清浄度クラス
半導体関連 集積回路/エッチング/蒸着・研磨 1~100
電子部品 プリント基板/ディスクコンデンサ/小型リレー 100~10,000
精密機器 時計/ミニチュアベアリング 100~10,000
光学機器 レンズ/カメラ/レーザー機器 100~10,000
印刷 精密製版/電子製版 1,000~10,000
医療機関 手術室/集中治療室 1,000~100,000
食品工業 乳製品/醸造品 1,000~10,000
農林水産 きのこ/メリクロン 10,000~100,000

一般環境下の清浄度目安

地域 クラス 地域 クラス
雲の上 1,000 郊外住宅地 400,000
海上 10,000 事務所 1,000,000
手術室 50,000 工場内 3,000,000
田園地帯 100,000 大都市街中 5,000,000

出典:ホクト総研

3. クリーンルームがあるお仕事

クリーンルームはさまざまな産業分野で利用されています。続けてその具体例をご紹介します。

3-1. 食品加工工場

直接ヒトの体内に入る食品は人々の健康に直結するため、食品加工工場では細菌や異物の混入を最小限に抑える必要があります。また異物混入のトラブルが1度でも起きてしまうと会社の信用が大幅に下がり、営業停止など多大な被害が及ぶこともあります。

3-2. 電子部品製造工場

電子部品は微細なホコリやチリの影響を受けやすく、一定の洗浄度レベルで管理された空間でないと、製造ができない部品も多くあります。製品の性能を確保するため、クリーンルーム内での作業が一般的です。

3-3. 医薬・医療品製造工場

医療機器や医薬品の製造には高い清浄度が求められます。医薬・医療品製造もヒトの体内に入ったり、治療の際に必要となるため、異物の混入や細菌の付着が許されません。クリーンルームは安全な製品を製造する上で欠かせない環境です。

クリーンルームってどんな作業場?クリーンルームで働く際のメリット・デメリットとは?

4. クリーンルームのお仕事を選ぶメリット

クリーンルームでの仕事には以下のメリットがあります。

4-1. 一定の温湿度管理

クリーンルーム内は一定の温湿度が保たれており、夏場でも冬場でも快適に仕事をすることができます。

4-2. ホコリやチリがない

クリーンルーム内は洗浄度が高く、ホコリやチリがほとんど存在しません。アレルギーを持つ方にとっては快適な環境です。

4-3. 軽作業が中心

検査や梱包・仕分けなどの軽作業が中心であり、重量物を扱う必要が少ないため、年齢や性別に関係なく取り組むことができます。

4-4. お化粧不要

クリーンルームでは、原則としてメイクやネイルが禁止されているので、朝の出勤準備にかかる時間を節約できます。

5. クリーンルームのお仕事を選ぶデメリット

クリーンルームでの仕事には以下のデメリットがあります。

5-1. 無塵服への着替えが面倒

クリーンルームでの作業前後に無塵服への着替えが必要で、その手間が面倒と感じることがあります。

5-2. チリやホコリの除去に神経を使う

クリーンルームへ入室する前には細心の注意が必要で、身体に付着したホコリやチリを完全に取り除かなければなりません。

5-3. トイレや水分補給に制約がある

クリーンルーム内では気軽にトイレへ行くことが難しく、飲食物の持ち込みも禁止されています。そのため、トイレや水分補給に制約を受けることがあります。

6. まとめ

クリーンルームの仕事にはルールや規制が多くありますが、その中には、「空調完備の環境で働ける」「軽作業が中心」「未経験でも給料が高い」「最先端分野の仕事に携われる」など、魅力的な要素もたくさんあります。特に品質管理が必要な産業分野でキャリアを築くための素晴らしい機会となるでしょう。クリーンルームでの仕事に興味を持った方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

 

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