産休から復帰する際に注意するべきポイントは?産前産後休暇・各種制度を詳しく解説

産休から復帰する際に注意するべきポイントは?産前産後休暇・各種制度を詳しく解説

働くママが7割を超えた昨今、多くのママが産休明けに職場復帰を考えていることでしょう。職場復帰に向けて準備をしているつもりでも、思わぬところでつまずいてしますことも。産休明けの職場復帰でスムーズなスタートを切るために、絶対に押さえておきたいポイントをご紹介します!

1.産休制度について知る

産休と育児休業(育休)が混同してしまうこともありますが、産休とは「産前・産後休暇」の略称で、国から定められた休暇制度のことを指します。産休制度は会社や雇用形態に関係なく、どなたでも取得することが可能な休暇です。

1-1.産前休暇

出産前に取得できる休暇のことを指し、休暇の期間は基本的に産前6週間と義務付けられています(双子以上の場合は産前14週間)。この6週間や14週間というのは「出産予定日」から算出した日付のことを指すので、実際の出産が遅れてしまっても法律的な問題はありません。

1-2.産後休暇

出産後に取得できる休暇のことを指し、出産後8週間未満の場合は就業させてはいけないと義務付けられています。ただし、出産から6週間が経過して医師から健康上問題がないと判断された場合には就業が許可される場合もあります。

1-3.育児休業

育休は産後休業が終わった翌日から子どもが1歳の誕生日を迎えるまでの、希望する期間を休むことができる制度です。男女とも取得することが可能で、育児休業を開始する場合は、予定日の1か月前までに申請することが法律で決められています。

産休から復帰する際に注意するべきポイントは?産前産後休暇・各種制度を詳しく解説

2.産休・育休からのスムーズな復帰をサポートするポイント

産休、育休を取得する予定がある方は、以下のポイントを心に留めて、円滑な職場復帰を目指しましょう。

2-1.お仕事のスムーズな引継ぎ

産休・育休をとるときは後任者に適切な仕事の引継ぎをしましょう。これまでの業務を詳細に共有し、休暇中も業務が滞りなく進行できるようにしましょう。妊娠期間は通常よりも負担が増すことがあるため、引継ぎには余裕のあるスケジュールを立てることが大切です。

2-2.適切なコミュニケーションを保つ

休暇期間中に会社との連絡を怠らないようにしましょう。出産報告や復帰の見通しを定期的に報告することで、会社側も復帰計画を立てやすくなります。一般的には電子メールが主要な手段となりますが、近年ではLINEや社内のチャットツールを活用して出産報告を行う例も増えています。

2-3.早い段階から保育園情報を収集

保育園選びは、ママたちの経験談やインターネット検索などさまざまな方法がありますが、最も確実なのは地元の自治体役所から情報を入手することです。保育園の入園申し込み締切りは通常11月から12月にかけて行われることが多いため、妊娠時期に応じて早めに手続きを開始することが重要です。

2-4.復帰後の生活リズムを計画

職場復帰後は、朝晩の生活リズムが育休前とは異なるものに変わります。新しい状況に適応するために、以下の項目を考慮した計画を立てましょう。

*起床時間: 通園時間を含めたスケジュールを確保しましょう。
*朝の支度: 授乳や搾乳、保育園グッズの準備などに時間を充てる計画を練りましょう。
*平日の夕食: 事前に食事の用意をしたり、デリバリーや宅配サービスを検討してストレスを軽減しましょう。
*搾乳場所: 母乳育児を続ける場合、搾乳場所を事前に職場と調整しましょう。

2-5.ポジティブ思考で心の準備

育休からの復帰時に、「仕事をもう辞めよう」と思う瞬間が何度もあるのは珍しいことではありません。子育てと仕事は、どちらもやりがいがあると同時に、たいへんな作業でもあります。親になることで、子育てで磨かれるソフトスキルは、整理整頓、計画性、マルチタスク、献身的なサービスなど多岐にわたります。ネガティブな考え方ではなく、新しいスキルを発揮する「チャンス」として前向きに捉えることが大切です。

3.育休明けの柔軟な働き方を検討する

子どもの保育園送迎や通勤時間を考慮し、職場と相談して適切な勤務スケジュールを見つけることが大切です。

3-1.短時間勤務制度を検討

育児中の方に向けた短時間勤務制度を利用することができます。通常の所定労働時間を原則として1日6時間に短縮できる制度で、、3歳未満の子どもを育てている場合に適用可能です。短縮した時間に対する給与は保証されないことがあるため、詳細な条件を確認しましょう。

3-2.所定外労働の制限を調査

育児中の方に対する所定外労働の制限を活用することができます。これは、労働時間が労働規則で定められた上限を超えないようにする制度で、3歳未満の子どもを育てている場合に申請できます。

3-3.時間外労働の制限を確認

法律で規定された労働時間(通常1日8時間、週40時間まで)を超えないようにするための制度を確認しましょう。小学校入学前の子どもを育てている場合に、この制度を活用できます。

会社によっては短時間勤務制度を利用すると給料が減って損、ということも考えられるので、自身が勤める会社の規定はどうなっているか、給料がどのくらいになるのかなど、しっかり確認することが重要です。

4.子供の健康面での考慮事項

乳児期において、環境の変化やストレスが子どもの体調に影響を及ぼすことがよくあります。風邪をひいたり、体調を崩したりすることも度々です。会社がどのくらい融通を効かせてくれるのか、急に休んだりしても大丈夫かはあらかじめしっかり確認しておくことが大事です。また、年次有給休暇が何日残っているかもしっかり確認しておきましょう。

4-1.子どもの体調不良に対するサポート制度

*子の看護休暇制度
小学校入学前の子どもが1人いる場合、5日間、2人以上いる場合は10日間の看護休暇を取得できる制度があります。この制度では、年次有給休暇とは別に子どもの看護のために利用できます。ただし、この休暇分の給与は保証されないことが多いため、無給となることがある点に留意しましょう。

*病児保育の利用
体調の悪い子どもを自宅で看護できない場合、病児保育を利用することができます。このサービスでは、専門の看護師と保育士が在籍し、子どもの看護や保育を行います。病児保育の利用対象は、一般的に小学校6年生までの子どもとされています。

5.各種制度の確認~社会保険料と年金

育休明けの職場復帰後、給料がダウンしてしまうことが一般的です。これは日常生活だけでなく、将来の年金受給額にも影響を及ぼすことがありますが、幸いにも救済措置が存在します。各種制度が自身に適用できるかを検討し、適切な手続きを行いましょう。

5-1.育児休業等終了時報酬月額変更届

育休明けにおける給与の減少に伴い、社会保険料も調整できる制度です。育児休業等終了時報酬月額変更届を提出することで、育休明けの給与をもとに社会保険料を修正できます。このためには以下の3つの条件を満たす必要があります。

①3歳未満の子どもを養育していること
②育休明けの給与と変更後の給与に1等級以上の差があること
③育休明けから3か月以内に少なくとも1か月で17日以上の労働日数があること

出典:日本年金機構

5-2.養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

将来の年金額は給与に基づいて算出されます。通常、給与が減少すると将来の年金も減少しますが、これを防ぐために「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出できます。この手続きにより、育休終了後、短時間勤務などで標準報酬月額が下がってしまっても、将来の厚生年金を、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づいて設定できます。この特例の適用条件は以下の2つです。

①3歳未満の子どもを養育していること
②子どもの養育が始まった月の前1年以内に厚生年金の被保険者としての期間があること

出典:日本年金機構

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6.育休明けのスムーズな職場復帰に向けて

はじめての職場復帰、不安は尽きないと思います。しかし、重要なポイントをしっかり押さえておけば、決して怖いものではありません。そして、職場復帰で最も重要なのは、”いかにパパにも協力してもらうか”です。ママ1人で頑張っていては、いつか頑張れなくなる時が来ます。パパに家事・育児に参加してもらうための工夫は積極的に行っていきましょう。

 

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