派遣の抵触日とは?抵触日の延長やリセットはできる?

派遣の抵触日とは?抵触日の延長やリセットはできる?

派遣労働は柔軟な働き方として多くの人に選ばれていますが、その制度にはいくつかのルールがあります。その中でも「抵触日(ていしょくび)」という概念は、派遣社員や派遣先企業にとって重要です。この記事では、派遣の抵触日とは何か、そしてその延長やリセットが可能なのかについて詳しく解説します。

派遣の抵触日とは?抵触日の延長やリセットはできる?

抵触日とは?

抵触日とは、派遣労働者が同じ職場(事業所)で働ける最長の期間を超える日を指します。労働者派遣法により、派遣社員が同じ事業所で働ける期間は原則として最長3年までと定められています。これを超えると、派遣契約を継続できなくなり、派遣社員はその事業所での業務を終了するか、直接雇用の選択肢を考える必要があります。

抵触日が設定されている理由

派遣労働には、長期間にわたって派遣社員が同じ職場で働き続けることによる不安定な雇用環境を防ぐ目的があります。特に派遣労働者が「恒常的な労働力」として利用されることを防ぐため、3年の制限が設けられています。抵触日が近づくと、派遣先企業は派遣社員を正社員などの直接雇用に切り替えるか、新たな派遣社員を受け入れることが求められます。

抵触日の延長やリセットはできる?

抵触日は原則として変更できないため、延長はできませんしかし、以下の方法で抵触日を「リセット」または状況に応じた対応が可能になる場合があります。

派遣の抵触日とは?抵触日の延長やリセットはできる?

別の部署や職務に異動する場合

派遣社員が別の業務部署に異動する場合、同じ事業所で働き続けることができ、抵触日がリセットされます。新しい業務に就くことで、新たな派遣契約が開始されるため、抵触日も新たに設定されます。

クーリング期間を設ける

派遣社員が一度派遣契約を終了し、一定の期間(クーリング期間)を空けた後に再度同じ事業所に戻ることも可能です。クーリング期間は原則として3ヶ月以上と定められており、この期間を空けることで再度派遣契約が結べます。

特定業務への派遣

一部の特定業務については、3年の期間制限が適用されないことがあります。例えば、通訳やソフトウェア開発など専門的なスキルが求められる業務では、抵触日の規制が緩和され、期間の制限が適用されません。

抵触日が近づいたら?

派遣の抵触日とは?抵触日の延長やリセットはできる?

派遣社員の対応

抵触日は、派遣労働者にとっても大きな意味を持ちます。特に長期間同じ職場で働き続けたい場合、派遣期間の上限に注意を払う必要があります。抵触日が近づくと、派遣会社や派遣先企業と今後のキャリアについて話し合うことが重要です。直接雇用を希望する場合は、事前に企業に対して自分の意思を伝えておくと良いでしょう。

【別の業務に転換】
派遣労働者が別の業務に転換し、同じ事業所で働き続けることも可能です。この場合、抵触日はリセットされますが、業務内容が変わるため、適応が求められます。

【派遣期間の終了】
抵触日を迎えることで、契約が終了する場合もあります。派遣労働者は、次の派遣先を探すか、他の雇用形態を検討することが必要になります。

派遣先企業の対応

派遣先企業が抵触日を迎える際には、以下の対応が必要です。

【直接雇用の申し入れ】
派遣先企業は、抵触日が近づく派遣労働者に対して直接雇用を検討する必要があります。これは、契約社員や正社員として採用される可能性があるということです。

【新たな派遣社員の受け入れ】
抵触日が来た場合、新しい派遣社員を受け入れて業務を続けることができます。ただし、新しい派遣社員がスムーズに業務に適応できるようなサポートが必要です。

派遣の事業所抵触日を超えた場合のリスク

派遣先企業への法的リスク

派遣先企業は、抵触日を超えて派遣社員を同じ事業所で雇用し続けることは、労働者派遣法に違反する可能性があります。これには以下のリスクが伴います。

【労働局からの是正指導や行政処分】
法律違反として、労働局から是正指導や罰金の支払いを命じられる可能性があります。最悪の場合、派遣業務が停止されることもあり、事業運営に重大な影響が出るかもしれません。

【罰則の適用】
法律違反が重大と判断された場合、派遣業務に関する許可が取り消されたり、新たな派遣契約が結べなくなったりする可能性があります。

派遣社員へのリスク

派遣社員にも、抵触日を超えることでいくつかのリスクが生じます。

【契約終了のリスク】
法律の規定により、抵触日を迎えた場合、同じ事業所での派遣契約は終了することになります。派遣先企業が延長を認められないため、派遣社員は新たな仕事を探さなければならなくなり、雇用の不安定さが生じます。

【キャリアの中断】
抵触日が近づく前に、直接雇用や他の派遣先への異動の検討がされない場合、急なキャリアの中断が発生する可能性があります。特に同じ事業所での長期間の経験が積めず、キャリア形成に不利となる場合があります。

派遣会社への影響

派遣会社もまた、抵触日を超えた場合に影響を受けることがあります。

【信頼関係の喪失】
派遣先企業と派遣会社の間で信頼関係が崩れる可能性があります。派遣会社が適切に抵触日を管理していないと、企業との契約が終了し、新たな派遣先の確保が難しくなることがあります。

【ビジネスチャンスの減少】
派遣先企業が抵触日を超えた場合、派遣契約を打ち切ることがあり、派遣会社はその事業所に派遣するチャンスを失うことになります。

派遣先企業が抵触日を迎える際には、以下の対応が必要です。

抵触日は、派遣労働者にとっても大きな意味を持ちます。特に長期間同じ職場で働き続けたい場合、派遣期間の上限に注意を払う必要があります。抵触日が近づくと、派遣会社や派遣先企業と今後のキャリアについて話し合うことが重要です。直接雇用を希望する場合は、事前に企業に対して自分の意思を伝えておくと良いでしょう。

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