「Society 5.0」と「SDGs」の密接な関連性

「Society 5.0」と「SDGs」の密接な関連性

近年、日本政府が積極的に推進している「SDGs」(持続可能な開発目標)と「Society 5.0」は、持続可能な未来社会の実現に向けた戦略の中で密接に結びついています。この記事では、それぞれの概念について詳しく解説し、どのように相互に関連しているかを探ります。

1. SDGs(持続可能な開発目標)とは?

「Society 5.0」と「SDGs」の密接な関連性

まず、「SDGs」(エスディージーズ)は「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」とも呼ばれています。これは、2015年に国連サミットで採択された2030アジェンダに基づく国際的な取り組みです。SDGsは、17のゴールと169のターゲットから成り立っており、貧困削減、飢餓の撲滅、ジェンダー平等、環境保護など、世界の課題に対処するための行動計画です。

2. Society 5.0の概念

次に、「Society 5.0」(ソサエティーゴテンゼロ)は、日本政府が提唱した未来社会の姿を指します。この概念は、第5期科学技術基本計画に基づいています。Society 5.0は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ、経済発展と社会課題の解決を両立させる、人間中心の社会を目指しています。これまでの社会進化の段階(Society 1.0からSociety 4.0まで)を超え、新しい社会の実現を目指すものです。

2-1. Society 5.0の実現に向けた課題

Society 5.0を実現するためには、いくつかの課題に対処する必要があります。これらの課題を解決するために、先進テクノロジーが活用されています。具体的な課題とその解決策については以下の通りです:

*IoT(Internet of Things)を活用して、人々とモノとのつながりを強化し、新たな価値を創出する。
*AI(人工知能)を活用して、必要な情報を必要な時に提供し、生活を効率化する。
*イノベーションによって、多様なニーズに対応し、社会的課題を解決する。
*ロボットや自動走行車などを導入して、制約を解消し、新たな可能性を開拓する。

「Society 5.0」と「SDGs」の密接な関連性

引用:Society 5.0で実現する社会(内閣府ホームページ)

3. Society 5.0とSDGsの関連性

日本政府と日本経済団体連合会(経団連)がSDGsの実践戦略の中核に位置づけているのが、Society 5.0です。Society 5.0が目指す社会は、世界的な課題の解決が不可欠であり、その達成が国連の提唱するSDGsの目的達成への道と密接に結びついているからです。

SDGs推進本部は2019年12月に、SDGs実施指針を改訂し、「SDGsアクションプラン2020」を発表しました。このアクションプランには以下の3つの柱が掲げられています。

① SDGsと連動した「Society 5.0」の推進
② SDGsを原動力とした地方の振興と、持続可能かつ環境に優しい魅力的な都市づくり
③ SDGsの担い手としての次世代と女性のエンパワーメント

これらの柱を通じて、「日本のSDGsモデル」が国際社会で共有され、展開されることを目指しています。

さらに、「SDGsアクションプラン2021」では、「Society 5.0の実現を目指してこれまでの取り組みを更に進める」との方針が示されており、SDGsの達成に向けてSociety 5.0の実現がいかに重要かが明確になっています。

4. 経団連が提示するSociety 5.0

同様に、経団連もSDGsの達成に向けて、革新的な技術の最大限の活用を推進し、経済成長と社会的課題の解決を両立させる「Society 5.0 for SDGs」というコンセプトを提唱しています。経団連は、このコンセプトの実現に向けてさまざまな取り組みを行っており、以下の活動を展開しています。

① 企業行動憲章の改定
② 「Society 5.0包括提言」の公表
③ Society 5.0の実現に貢献する革新的なイノベーションの実例を収集し、それらをまとめた「Innovation for SDGs」の作成

これらの取り組みを通じて、経団連はSDGsとSociety 5.0の結びつきを強調し、持続可能な未来の構築に向けて重要な活動を展開しています。

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