2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

2023年5月8日から、新型コロナウイルス感染症がインフルエンザと同様の「5段階」に移行しました。この変化により、移動制限が緩和され、経済も徐々に回復しています。一方で、原油価格の上昇や円安による物価上昇がいくつかの業界に影響を与えています。

また時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」が物流業界や建設業界などに影響を与えており、これらの業界は今後危険な状況に直面する可能性があります。本記事では、2024年版の今後危ない5つの業界を紹介いたします。転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

1.今後危ない5つの業界

2024年版の今後危ない業界は、以下の5つです。

*物流業界
*建設業界
*テレビ業界
*出版業界
*士業業界

2.2024年問題で物流業界が激変する?!

2-1.2024年問題とは

働き方改革関連法は2018年に成立し、一般的な業種では2019年から段階的に施行されました。しかし、物流業界や建設業界など、急激な労働環境の変化が難しい業種においては、5年間の猶予期間を経て、2024年4月1日に本格的に施行される予定です。

この法律は、労働者の過労を防ぐために、労働時間に上限を設けました。一般的な労働時間は、労働基準法により以下の通り規定されています。

*実労働8時間/日
*実労働40時間/週

時間外労働時間の上限は、以下の通りです。

*時間外労働45時間/月
*時間外労働360時間/年

法令に基づき、月45時間以上、年360時間以上の時間外労働は原則として禁止され、法的な制裁が科されます。

労働者と企業が合意している場合には、特定の条件下で上限が設定されます。

*時間外労働720時間まで/年
*時間外労働と休日労働の合計100時間未満/月
*2か月~6か月の時間外労働と休日労働の合計80時間まで/月
*時間外労働45時間を超過できる月は年6回まで

ただし、特別事項を利用していても、月の時間外労働と休日労働の合計が100時間未満でなければならず、2か月から6か月の法定外労働時間は80時間以内に抑える必要があります。これは、特にドライバーなどの長時間労働が一般的な物流業界において、労働時間の上限規制をどれだけ順守できるかが課題となります。

出典:厚生労働省 時間外労働の上限規制

2-2.2024年問題が物流業界に及ぼす影響

2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

2-2-1.ドライバーの生活スタイルの安定と収入の変動

時間外労働の上限設定により、ドライバーの生活リズムは安定し、働きやすい環境が整備されるでしょう。これにより、睡眠不足や法外な勤務時間による健康被害のリスクが大幅に低減します。しかし、多くのトラックドライバーは時間外労働に依存しているため、これが収入の大幅な減少につながる可能性があります。一部のドライバーは、希望の収入を得ることが難しくなるかもしれません。

2-2-2.物流会社の課題と利益の変動

もう一つの懸念は、物流会社の利益減少です。時間外労働の制約により、ドライバーの運転時間が減少し、企業全体の稼働時間も短縮されるでしょう。これにより、1日に運べる荷物量が減少し、結果として利益が減少します。

利益を維持するためには、物流会社はドライバーの人員を増やす必要が生じます。給与の見直しや手当の充実によって人材を確保する企業が増える一方で、ドライバーの離職が増加し、経営が厳しくなる企業も出てくるでしょう。これにより、物流業界内での企業間の2極化が進む可能性があります。

2-3.2024年問題が建設業界に及ぼす影響

2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

2-2-1.深刻な人手不足の悪化

建設業界は、3K(きつい・危険・汚い)のイメージなどからくる人手不足が深刻で、様々な業務の遂行が難しくなっています。今回の働き方改革関連法の適用により、人手不足が一層深刻化する懸念があります。

人材確保のために発生するコストや人件費の増加、割増賃金の負担など、複数の要因が建設業界の収支を圧迫しています。特に中小規模の経営基盤が脆弱な企業は、倒産や廃業に追い込まれる可能性があります。

2-2-2.インボイス制度の導入

インボイス制度は、2023年10月に導入された消費税の仕入れ税額控除に関する制度です。今後は、課税事業者である企業がインボイス登録をしていない個人事業主などの免税事業者との取引において、消費税控除を受けられなくなります。これがコストの圧迫要因となり、建設業界に影響を及ぼすでしょう。

建設業界では、通常「一人親方」と呼ばれる個人事業主が人的リソースを支えてきましたが、インボイス制度の導入により、一人親方の数が減少すると予測されます。これにより、人材確保や作業工程に即した柔軟な要員調整が今後一層難しくなる可能性があります。

3.テレビ業界

3-1.デジタルシフトの進展と新たな競争

Z世代では、テレビ視聴時間が緩やかに減少しており、2024年にはテレビや映画といった従来の時間制約のあるメディアから離れ、Netflixやその他のサブスクリプションサービス、YouTubeなどの動画配信プラットフォームを利用する人々が増加する見込みです。

しかし、テレビ業界において成功してきた企業が一様に業績の悪化に直面するわけではありません。これは、テレビ単体ではなく、インターネットを活用したコンテンツの提供が増加しているためです。今後、企業がどのような戦略を採用するかによって、競争力が大きく変わるでしょう。

4.出版業界

4-1.もはや不可避、ペーパーレス化の潮流

電子書籍の普及やペーパーレス化の進行に伴い、出版業界は大きな変革の波に直面しています。これにより、「紙の本」に依存する出版社や書店は縮小傾向にあり、再販売価格維持制度の影響で書店ごとの価格競争が難しくなり、競争原理が機能しにくい状況が生まれています。

一方で、インターネット上では手軽にほぼ新品同様の中古本が入手可能となり、これが新刊紙の本の売り上げに影響を与えていると予想されます。出版業界は急速な変化に適応できない企業が今後の課題に直面し、業界全体が縮小の一途をたどる可能性があります。

5.士業業界

5-1.AIの出現で士業の仕事が奪われる

士業業界も大きな変革の兆しを見せています。士業は高度な資格を持ち、専門的な分野で仕事を行っていますが、近年ではAIによって多くの事務作業が自動化される可能性が高まっています。2015年に公表されたオックスフォード大学と野村総合研究所の共同研究によれば、「AIによる代替可能性が高い職業」の中で税理士・弁理士・行政書士の3つが90%以上もの可能性があると示唆されています。

ただし、AIが得意とするのは単純な事務作業であり、複雑な問題解決や人との対話、個別のアドバイスなどは依然として「人」の手に委ねられています。このため、今後の士業業界は、専門知識だけでなく、問題解決に導くための「コンサルティング」スキルが一層求められることとなります。

2024年版今後危ない業界は?2024年問題に揺れる物流・建設業界

6.転職を考えるなら今後伸びる業界を検討すべき

もし今、危ない業界で働いているのであれば、できるだけ「成長し続ける業界」への転職を検討してみましょう。リスクがある業界で経験を積むことも一つのアプローチですが、「転職できるタイミングで行動すること」が何よりも重要です。

 

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