電気自動車(EV)の普及で生き残る業種と消える業種

電気自動車(EV)の普及で生き残る業種と消える業種

自動車業界は現在、大規模な変革の中にあります。その中でも、電気自動車(EV)の急速な普及が注目されています。この記事では、EVの普及がもたらす産業構造の変化に焦点を当て、どの業種が生き残り、どの業種が影響を受ける可能性が高いかについて探ります。

電気自動車(EV)の普及で生き残る業種と消える業種

EVの普及の背景

EVの普及は、環境への配慮やエネルギー効率の向上など、多くの利点に支えられています。その結果、世界中でガソリン車の販売規制が導入されるなど、EVへのシフトが進んでいます。

ガソリン車販売規制の世界的動向

日本: 2035年にガソリン車販売禁止
アメリカ(ワシントン州など): 2035年にガソリン車販売禁止
中国: 2035年にハイブリッド自動車のみ許可
ドイツ: 2030年にガソリン車販売禁止
イギリス: 2030年にガソリン車販売禁止
フランス: 2030年にガソリン車販売禁止

EVが抱える課題

EVの普及を阻む要因の一つは、価格の高さです。EVの購入価格は一般的に300万円以上と高額で、燃料電池自動車(FCEV・FCV)では700万円以上にも達します。これは、100~200万円台で購入できるガソリン車と比較してまだまだ高額であることを示しています。

2つ目の課題は航続距離の問題です。現在のEVの平均航続距離はBEVで約300~500kmですが、ガソリン車は一度の給油で600km~1500kmも走行できるため、EVの航続距離はまだまだ物足りないと言えます。

最後に、EVで主流の「三元系バッテリー」の製造には、リチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタルが使用され、大量のエネルギーが消費されています。このため、蓄電池のリユースとリサイクル体制の確立が重要な環境課題となっています。

EVの普及と影響

EVの普及は環境への配慮、エネルギー効率の向上、低ランニングコストなど多くの利点に支えられています。この結果、多くの国でガソリン車の販売制限や禁止が予定されており、自動車産業全体が大きな変化に直面しています。

影響を受ける業種

1. エンジン部品メーカー
EVの最大の特徴は内燃機関を持たないことです。これにより、ガソリンエンジンに関連する多くの部品が不要になります。ピストン、ピストンリング、インジェクター、スパークプラグ、クランクシャフト、メタル類、シール類、オイルポンプ、ジェネレーターなど、これらの部品を専門に製造している業者は、需要の減少に直面するでしょう。

2. 変速機メーカー
電気自動車のほとんどは、固定ギヤでの変速システムを採用しており、多段変速機が不要です。しかし、モーターの高効率化を考えると、将来的には2~3速の多段変速機が必要になる可能性があります。また、モーターと変速機を一体化させるトレンドもあり、変速機メーカーは電動化時代においても市場で生き残る可能性が高いと言えます。

3. 足回り部品メーカー
EVは静粛性の高い走行を提供するため、ダンパーやスプリングなどの足回り部品に高い要求がかかります。さらに、EVの特性に合った新しい技術を開発し、採用する必要があります。足回り部品メーカーは、これまで以上に静粛性に優れたタイヤや足回り部品を提供できる技術力が求められます。

4. タイヤメーカー
EVの普及により、タイヤの要求仕様も変化します。静粛性、低転がり抵抗、高い耐久性などが重要な要素となります。タイヤメーカーはこれらの要求を満たす新しいタイヤを開発し、提供する必要があります。

電気自動車(EV)の普及で生き残る業種と消える業種

結論

電気自動車(EV)の普及は自動車産業全体に大きな影響を与えるでしょう。ガソリン車関連の部品製造業者や変速機メーカーは、市場での競争が厳しさを増す中で、新たな方向性を模索しなければなりません。一方で、足回り部品メーカーやタイヤメーカーは、EVに特化した高性能な部品の開発に取り組むことが求められます。EVの普及に伴う業界の変化を見据え、持続可能な未来に向けて努力が必要です。

 

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